望んで消したアドレス。
私の頭を優しく撫でてくれた掌の温かい感触。
優しく笑う顔は今でもあたしを励ましてくれる。
なにも忘れてない。
忘れたわけじゃない。
どんなに良い人に出逢っても優しくされてもあの人ほど胸を締め付けられたことはない。
「…わたしから、手を離したから」
そういった私の声は自分でも驚くくらい弱々しく苦笑した。
間違えたから。
私が選択を間違えてしまったから。
その事だけが頭を占める。
「……私が言えることじゃないから…」
弱かった私の行動が言動がどれだけ島津木くんを傷つけたか。私の子どもじみた我が儘がどれだけ澤村さんを困らせたか。
それを気づかせようとしてくれた従兄弟の優しさを。
何一つ忘れちゃいない。
「もういいんじゃない?」
「…へ……?」
「誰も責めないと思うけど」

