「葵のこともだけど。島津木くんだよ」
島津木くんが転校してから初めて会う約束をした日。あたしはきっぱりとよりを戻すことを断った。
そのあとも高校を卒業してからもあたしと島津木くんの交流は途絶えることはなかった。
大学を進学して島津木くんに彼女ができても、ましてやその彼女と彼が同棲を始めても。
あたしたちの縁は切れることはなかったのだ。
むしろ強まった位だと実感している。
「まぁ、彼女さんにも二股してるんじゃないかって疑われたしね」
喧嘩した日に呼び出されては彼女さんの愚痴にもならないノロケを散々聞かされると言うことが度々あったし。
島津木くんとしてはあたしに対する罪悪感もあったのかもしれない。
「私、結婚するのは葵だと思ってたのになぁ」
「そんなんじゃないよ」
式場に向かう車中であたしは変わりゆく景色を窓越しに眺めた。
付き合うとか、結婚するとか、あたしたちにはもうそんな男女の関係は存在しない。
でないと、別れた恋人が友達として10年も付き合うことなんてできないと思う。

