澤村さんは理解ができないあたしにもう一度笑って続けて言った。

「好きっていっぱいあるんだよ」

「いっぱい…?」

「友達にたいする親愛だったり、尊敬の念からする敬愛だったり。葵の俺にたいする好きは敬愛に近いものに見えたんだ。そしたら、いつか俺のことを好きだったって思うのは感違いだったんじゃないかって言われることが凄く怖かくなったんだ。

だからそう思われる前に感違いで済ましてしまおうとお前を遠ざけたりした」

それが間違ってたんだな、と澤村さんはその日初めて泣きそうな顔であたしのことを見た。

「ちゃんと好きって言えばよかった」

後悔したんだ。
涙のにじんだ瞳が細められそう言っているように聞こえた。

「……あたしだって…すきでした」

後悔しました。
澤村さんに好きって言わなくて後悔しました。
あなたに好きって言えればよかった。