恋をしたのは澤村さん


真剣な顔で澤村さんはあたしの言葉を遮った。

「……俺はさただ、葵のことを考えたんじゃない 。 俺にとって葵は眩しくて綺麗で可愛い、素敵な 女の子だったよ。 きっと特別な存在だった。 だからこそ怖かったんだ」

澤村さんの言っている事が分からなくて首を傾 げた。

「俺は大人でお前は子どもだ。 お前がそう思ってなくても社会はそう分類する 。だからこそ怖かったんだ。お前がいつか俺と のことで誰かに馬鹿にされたり冷やかされたり することが。それで俺も怖かった。 勘違いだったって言われることが」

「感違い?」

「そう。俺のことを好きなんじゃなくて憧れに 近い部分もあっただろ?」

たしかにあたしは澤村さんのことを好きでもあ って尊敬もしていた。 でも、それがどう感違いになるの?