ねぇ…気づいてよ?

「わかった」


私は、『行かないで』と言いそうになる口を必死に塞いで、二人を見送った。


二人は小さく小さくなっていき、やがて見えなくなった。


「泣きたいのは こっちだよ」


私は小さく呟くと、急いで次の教室へ向かった。


部屋に入ると同時に、授業開始のチャイムが鳴り響いた。


「おい佐々本、遅いぞ」


「すいません」