俺は目の前の彼女を押し倒したい衝動をこらえながら、小さく息を吐き出す。 しかし俺のそんな心の葛藤は顔に出ていたのか、彼女はさっきまでの笑顔を引っ込めて、不安げに眉尻を下げた。 ……俺、そんな怖い顔してたか? 「辻村く」 彼女が何かを言おうとしたけれど、その言葉は体温計の電子音に遮られた。 見せられた数字に、思わず顔を顰める。 ……そんなに熱あったくせに、何無理してんだよ。 微熱どころじゃねーじゃねぇか。