「いい加減にしてよ……!あたし、これ以上太一のことを信じられそうにない」
その大きな黒い瞳が好きだった。
ふとした時に見せるとびっきり優しい顔も、ちょっぴり優柔不断なところも全部。
今はもう、そんな気持ちがあるのかさえわからない。
好きって気持ちがなんなのか、そんな純粋な気持ちさえ忘れちゃったよ。
「もう絶対しないって約束するから……別れるなんて言うなよ」
はははっ。
自分が今したことを棚に上げて、よくもそんなことが言えたもんだ。
結局、太一は自分のことしか考えてない。
「もう何度も聞いたし、これ以上は無理。とにかく別れるから」
ボクサーパンツ姿で立ち尽くす情けない太一を見て、呆れることしか出来ない。
あたしが好きだった太一はもういない。
あたしだけを見てくれる太一も。
ここら辺で本当に潮時なんだ。
「ごめん……っ本気で惚れてるのは妃芽だけだから……俺、妃芽がいねーと生きてけねぇよ」
いつもそうやって言うくせに、また同じ過ちを繰り返すじゃんか。
あたしはもう、その言葉を信じることが出来ない。



