「おい、聞いてんのか?」 おデコを小突かれ、ハッとする。 いけない、聞いてなかった。 「ごめん……なに?」 「泊まってくかって聞いたんだけど」 リュウはそんなあたしに呆れもしないで、優しく言葉を返してくれた。 「……泊まろうかな、せっかくだし」 部屋に帰ると自己嫌悪に陥りそうだし。 それに今日は休みだし、問題ないよね。 「店終わったらまた来るから……イイ子で待ってろよ」 ベッドの上に座り込むあたしをギュッと抱き締めてから、リュウは部屋を後にした。