「誰のこと考えてんだよ?」
出っ張った喉仏から振動が伝わる。
リュウの上に跨ったまま顔を伏せて黙り込むしか出来ない。
だって言えるわけがない。
太一のことを考えながら、リュウに抱かれようとしてるなんて。
そんな最低なこと……
あたしの体を抱き締めていたリュウの腕が緩んだ。
「他の男のことを考えてる女を抱けるほど、俺は器用じゃねぇんだよ。それに、後悔すんのわかってて抱けるわけねぇだろ」
ねぇ
なんで
そんなに似合わないことばっかり言うの?
あたしが考えてることがわかっちゃうの?
……そんなに優しいの?
「……っ」
視界がぼやけて頬に生温かいモノが流れる。
それは顎を伝って、リュウの頬にポタポタ流れ落ちた。



