スカッシュ系の爽やかな香りに包まれたところで、ハッと息を呑んだ。
唇が触れそうなほどのすれすれの距離。
リュウは一切微動だにせず、あたしの行動を見守っているだけ。
艶っぽいその唇は、太一のものとは全然違う。
健康的で血色の良い肌に筋の通った鼻。
骨格も肩幅も筋肉の付き方も、当たり前だけど全部が太一とは違う。
胸の奥がキリキリ痛んだ。
この人は太一じゃない……
わかってるけど、思い出すのは太一のことばかり。
「しねぇのかよ?するんだろ?」
挑発するようなリュウの口調は、絶対出来ないとでも言いたそう。



