そっか。
彼もここの住人だったっけ。
あたしの顔を見たリュウは、甘い笑顔から一変して険しい表情になった。
相変わらずキリッとしたその瞳。
鼓動がトクンと鳴る。
「どうしたんだよ、その顔……」
一歩、また一歩とリュウが歩み寄って来る。
とても、切ない表情をしながら。
「……泣いたのか?」
長い前髪の隙間から覗くリュウの瞳が悲しげに揺れている。
「この前言ってたこと、有効期限過ぎちゃった?」
「……は?」
途端にキョトンとするリュウ。
煌びやかなネオンが輝くこの街は、今目の前に立つ彼をより魅力的に見せている。
ウソ偽りの世界で、この人は一際光を放っていた。



