広い通りへ出ると、そこには華やかな世界が一面に広がっていた。
イケメンホストが中年女性と腕を組みながら歩いてるのを見て、華やかなこの場所がくだらないものへと変貌する。
夢を売る仕事なんだろうけど、あたしからしてみればお金と欲に埋もれたウソ偽りの世界でしかない。
そんなの、なんの意味もない。
虚しいだけじゃん。
騙すだの騙されただのと翻弄される人達を、今までバカにしていた。
だけど
そうまでして人がお金で夢を買う意味が、今のあたしには痛いほどわかったんだ。
寂しいんだ……。
寂しくて寂しくて
誰かに必要とされたくて
みんな必死なんだ。
あたしも……。
「おねーさん」
俯いて歩いていたあたしの目の端に、黒いスーツの男性の足が映った。
見るからに高級そうな光沢のある革靴に、なんとなく記憶に残る低い声。
恐る恐る見上げると、初めて会った時と同じように甘い笑顔を浮かべたリュウが立っていた。



