「っ、なに言ってんだよ⁉」
背中をさする手をピタッと止めて、太一は険しい瞳をあたしに向けた。
なに言ってるって……
当然のことでしょ⁉
自分がなにしたかわかってんの⁉
こんな場面を見せられて
平気でいられる人がいたら教えて欲しい。
もう、いい加減にして。
「……その子、大事にしてあげなよ」
これ以上ここにいると涙が零れ落ちそうだったので、一方的に言って寝室を出た。
扉が閉まる瞬間に見えた女の子のあたしに対する憎悪に満ちた目。
悪いのは太一なのに、どうしてあたしが恨まれなきゃいけないのか。
理不尽だけど、惚れたら負けだって言うもんね。
恋は盲目ってよく言ったもんだ。



