一度流れ出した涙は止まることを知らなくて
ソファーに顔を埋めたまま声を押し殺して泣いた。
「……っ大丈夫?」
異変にいち早く気付いた市井さんが声をかけてくれたけど、返事をすることが出来ない。
「えっ⁉泣いてんのっ?」
「ちょっと……今度はどうしたの〜?まさか泣き上戸?」
そんな会話が聞こえたけど俯いたままひたすら泣き続けた。
「なにかあったんだよね?居酒屋にいる時からおかしかったもん。辛い時はいっぱい泣きな」
優しい市井さんの声と、ふわっと頭に降って来た温かい手の平。
それが余計に胸に染みて涙がダバダバ溢れ出した。
「ゔぅ……ずみばぜん……っ、ずずっ」
涙と鼻水交じりの声を必死に絞り出してそう言った。



