「いらっしゃいませ」 店内の賑わう声とともに、どこか聞き覚えのある声が聞こえて来た。 思い出そうとしている内にちょうど空いたテーブル席へと案内された。 どれだけお酒を煽ってふらふらになっても、頭にあるのは太一と彼女のことばかり。 今頃、太一の部屋で 散々愛し合ったあのベッドで 太一は違う女を抱いている。 あの子の名前を呼びながら。 そんなことを考えていると、泣きたくもないのに自然と涙が溢れて来た。