目を潤ませながら泣きそうになっている女の子は、切れ長の大きな瞳を揺らしながら困惑してる。
さしずめ、彼女も太一のうまい口車に乗せられて付いて来たんだろうけど。
どう見ても女子高生じゃん。
マジメな優等生タイプの女の子。
清楚系女子、って言葉がぴったり当てはまる。
一体、どこで知り合ったんだよ。
床に落ちているお嬢様校の制服を見て、胸に冷たい風が吹いた。
「彼女いないって言ってたじゃん⁉ウソだったの⁉」
「や、う……ん……それはっ」
「ひどいよ……彼女いないって思ってたから来たのに」
「な、泣くなよ……」
困惑顔で彼女の背中をさする太一を、あたしは冷ややかな顔で見下ろしていた。
っていうか、泣きたいのはこっちの方なんだけど。
だけどあたしはそこまで可愛い女じゃないし、涙で同情を買おうっていう気は全くない。
泣いてるその子を必死に宥める太一を見ていると、自分の存在がものすごく無意味なものに思えた。
バカバカしい。
なんでこんな奴に振り回されてるんだろ。
悔しくて辛くて、次第に涙が込み上げた。
「太一、もう別れて」
もう無理。
これ以上は。



