俺様ホストに愛されて



「立野さん、今日合コンあるんだけど」



同じお店で働く一つ上の先輩、市井さんが綺麗なその笑顔をあたしに向けた。



平日のお店は割と暇で、時間が空くと店長やマネージャーの目を盗んでお喋りをする。



あたしは服を畳んでいた手を止めて、市井さんの顔を見つめた。



「またですかー?」



確か、先週も行ってましたよね?



「うん、でね……一人来れなくなっちゃって。もし良かったら来てくれないかな?」



両手を合わせて頼み込んで来る市井さん。



「……いいですよ」



まだ新しい恋をする気にはなれないけど、今まで太一しか見て来なかったわけだし。



ちょっとくらい違う人を見てみるのもいいかもしれない。



「本当に⁉立野さん、いつ誘ってもノーだったのに……いいの?」



心底驚いたように市井さんが訊き返して来たのを見て、今までそんなに誘われたっけ?


なんて思ってしまった。



「いいですよ、どうせ暇なんで」



にっこり笑うと、市井さんは嬉しそうにあたしの手を取ってぴょんぴょん跳ね回った。