「なんで?」
リュウが……?
そんなギリはないし、何よりカモにしようとあたしを狙ってたはず。
なんで?
疑問が拭えずスッキリしないままヒロさんの顔を見上げた。
「また来てよ。で、直接お礼言ってやって?あいつも喜ぶと思うし、悪い奴じゃないから嫌わないでやってね」
そう言って穏やかに笑ったヒロさんに頭を下げて、あたしはお店を後にした。
なんとか終電に間に合ったあたしは、電車に揺られながらリュウのことを思い出していた。
どうして払ってくれたの?
知り合ったばっかの奴だよ?
あんなに暴言を吐いたっていうのに。
失恋して悲しいはずなのに、頭の中はリュウのことでいっぱいだった。
どうせ気まぐれなんだよね?
別にあたしはそんなこと頼んでないし。
そんなことでほだされたりしない。



