でもダッシュで行けば終電に間に合うかもしれないし。
何より飲み逃げしちゃったわけだし。
ということで戻ることに。
カランカラン
恐る恐る扉を開けて中を覗き込む。
良かった、リュウはいないみたい。
いたらどうしようかと思ったけど、いないとわかってホッとした。
また会ったら気まずいもん。
「あれ……?妃芽ちゃん⁉」
あたしに気付いたヒロさんが驚いたような声を上げた。
「……すみませんでしたっ」
お店の中はさっきよりも人が増えていて満席に近い状態。
「どうしたの?」
首を傾げるヒロさんは、カウンターから出て来てくれてあたしに優しい笑顔を向けてくれている。



