抱き締める腕の強さがリュウの愛だと言うのなら、あたしは笑顔でそれを受け止めるよ。
「うそっ、辰巳君ってあんな子がタイプだったの⁉」
「ありえない、まだガキじゃん」
「なにあのダサい格好……全然釣り合ってないし」
ヒソヒソ言う声があちこちから聞こえて、あたしは思わずリュウの胸に顔を埋めて視界を遮った。
確かに、大人っぽいリュウと比べたらあたしは童顔だし。
今日の格好がイケてないのも十分承知してる。
スーツ姿のリュウに似合うのは、ドレスを着て髪を盛っている人なのかもしれない。
「気にするなよ?言わせとけ」
頭に温かい手の感触がした。
リュウの手は魔法の手みたい。
心に芽生えたモヤモヤがスーッと消えていく。
あたしは小さくコクリと頷いた。



