あんなにひどいことをされたのに。
つくづくお人好しだなって自分でも思う。
放っておけばいいものを。
あれこれ考えている内に、扉が開いて中から太一とお姉さんのマヤさんが顔を出した。
寝ていたところを起こしたのか、寝ぼけ眼のままダルそうに立っている。
正直、昔からなぜか好きになれない。
生理的に無理なんだ。
「んー、あれ……?太一の、彼女……?」
トロンとした瞳をパチクリさせながら、マヤさんはあたしの顔を覗き込んだ。
胸元が開いた服からは谷間が丸見え。
ピンクのキャミが、胸のボリュームだけで横いっぱいに広がっていた。
「お久しぶりです……でも、もう太一の彼女じゃありません」
お色気ムンムンのマヤさんをしっかり見据え、あたしはきっぱりそう口にした。
「今の彼女の美雪」
太一はみゆちゃんの手を取ってマヤさんの前に引っ張った。
「ふーん。あたし、太一の姉のマヤ。よろしくね〜……」
さほど興味がなさそうにそう口にしたマヤさんは、機嫌が悪そうにも見えてそれが思いっきり顔に出ていた。



