あたしは一体、この人のどこを見て来たんだろう。
今の今になって、本気でそう思う。
「なにがって……あたしが言って来たことはムダだったんだね」
はぁと大きくため息を吐いた。
「は⁉なんだよ……はっきり言えよ」
後ろ手に玄関の扉を閉めた太一の頬は、赤く腫れ上がっていた。
ビンタされて少し怒ったのか、鋭い瞳をあたしに向けて来る。
「あんたが浮気する度に、こっちは迷惑被るの!」
リュウとの別れを選んだのはあたしだけど、そうなる原因を作ったのは太一だ。
全部が全部太一が悪いとは言い切れないけど、あたしはもう限界だった。
「俺、みゆと付き合ってからは浮気なんてしてねーし」
は⁉
浮気、してない……?
「え……?でも、今女来てるよね?」
この目でパンプス見たんですけど‼
「あー、姉ちゃんのだよ」
「えっ⁉」
その言葉に反応したのはあたしじゃない。
みゆちゃんだった。



