太一の言葉が本当かウソかだなんて、今のあたしにはわからない。
だけど信じられなくなったらもう終わり。
「信じられなかったけど……信じようと努力はしてたよ」
それでも無理だったけど、あの時は太一を失うのがすごく怖かった。
「それは……あんたが本命の彼女だったからそう思えるだけで、浮気相手のみゆには無理。今だって無理やり付き合ってくれてるようなもんだし……実際、他の女とだってヤッてるし」
悔しそうに唇を噛み締めながら言うみゆちゃんに、同情にも似た気持ちが芽生えた。
それと同時に、太一に対しての怒りもふつふつと湧き上がる。
みゆちゃんの肩を持つとかそういうことではない。
むしろ、あたしはこの子が嫌いだ。
だけどこの子よりも太一を許せないと思うのは、あの頃から太一がなにひとつ変わっていないから。
結局、あたしの言葉はなにひとつ届いていなかったわけだ。
あたしの髪を掴んでいたみゆちゃんの腕にそっと手を伸ばした。
するとその手は、簡単にあたしの髪を解放してダランと垂れ下がった。
みゆちゃんは力なく床に座り込んだ後、顔を俯かせて押し黙った。



