だけどこの子は、あたしを苦しめることでしか不安を解消出来ない子なんだ。
あたしを苦しめることだけに囚われて、ある意味寂しい子なんだと思う。
眉がピクッと動いたのを、あたしは見逃さなかった。
きっと、この子自身そうだと気付いている。
「知ったような口きかないでよ……タイ君は、みゆのことが好きだって言ってくれた‼」
「だったら……なんでそれを信じないの?」
あたしに牙を向けるの……?
「ふんっ‼あんな浮気男の言葉なんて信じられるわけないでしょ⁉それは、あんたが一番良くわかってるんじゃないの?」
虚ろな顔で弱々しくそう嘆くみゆちゃんの瞳に、悲しみのようなものが含まれているのが見てとれた。
信じたいけど、信じられない。
好きだけど、苦しい。
彼女の瞳はそう物語っていて、それは太一と付き合っていた頃のあたしの姿とダブって見えた。



