脱力したように全身をダランとして歩く様は、この上ない違和感を感じさせる。
今のみゆちゃんには表情すらもない。
だからこそ、恐怖を感じてしまう。
怒りを露わにしてくれていた時の方が人間らしかったし、行動も予想出来た。
だけど、今は全く予想がつかない。
虚ろなその瞳の奥に、どんな感情が潜んでいるの?
細かった身体はより一層やせ細り、立っているのがやっとという風にも見えた。
醸し出る異様な雰囲気に思わず立ち上がった。
目が普通じゃない。
狂気を孕んだその瞳は、あたしの中の嫌な予感を確信に変えた。
「今さら、なにしに来たわけ?実家で大人しくしてればいいものを……」
ボソッと嘆かれる言葉は、あたしに向かって言っている言葉なんだろうけど独り言のように感じる。



