「竜太(りゅうた)、お前なぁ……ウチの常連になる予定のお客さんに絡むなよ。営業妨害で訴えるぞ」
バーテンダーの男の人がイケメンスーツの男の人に向かって呆れたようにそう言った。
シェイカーを振る姿が様になってて、思わず見惚れる。
隣の人もだけど、この人も相当かっこ良い。
ふわふわの猫毛に小動物のようなくりっとした瞳。
背が高くて、バーテンダーの制服がよく似合ってる。
「うるせえ、俺の方が常連だろ」
ブスッとしてそんな風に言う横顔が、子どもみたいでなんとなく可愛く見えた。
「ごめんね、こいつ絡んで来てウザいっしょ?いつもは静かに飲んでるんだけどね。俺はこの店を任されてるオーナーの長谷川です、以後お見知りおきを」
バーテンダーの長谷川さんは、シェイカーの中のものをグラスに移し変えながらちらっとあたしの顔を見た。
「あ、はい!よろしくお願いします。あたしは立野(たての)って言います」



