なんでイッキさんがここに……?
庶民的な居酒屋の中では、イッキさんの白スーツはかなり浮いている。
他のお客さんは珍しいものでも見るかのように、イッキさんを見てひそひそ言っていた。
「お邪魔しますじゃねぇよ、なんの用だ?つぅか、誰だよ⁉」
今にも殴り掛かりそうな勢いで大樹が言う。
「用があるのは君じゃないよ?姫ちゃんに用があるんだ」
状況がうまく呑み込めない。
あたしに用がある……?
一体なんの⁉
考えつくのはリュウのことしかない。
「妃芽、お前の知り合いか?」
向かい側にいる大樹が、不思議そうな顔であたしの顔を覗き込む。



