「あはっ。なにムキになってんの?冗談に決まってるでしょ?あんたのおかげで気分台無しだし。胸くそ悪いから今日は帰る」 胸くそ悪いのはこっちの方だ。 二度と店に来るんじゃねーよ。 階段を下りて行く背中に、そんなことを思った。 その事実を知っても、身を引いた妃芽さんのことを思うと 辰巳さんに言えるわけがなかった。