「なんで?決まってるでしょ?あの女が嫌いだから。ただそれだけ」
聞きたいことや疑問は山ほどある。
こいつのせいであの2人が別れたんだとしたら、嫌いになって別れたわけじゃないはずだ。
こいつの仕業だと辰巳さんに言えば、後はあの人がなんとかするはず。
悔しいけど、俺が出来るのはそれくらいだ。
「どこ行く気?まさかバラす気じゃないでしょうね?」
階下へ足を進めた俺の背後から、嫌な声が聞こえた。
「そのつもりだよ」
振り返ることなくそう言い、さらに足を進める。
嫌いになったんならまだしも、こんな理不尽な別れ方ってあるかよ。
「あんたね……バラしちゃったらあの女の行動がムダになるでしょ?みゆがなんのネタもなしに別れろだなんて言うと思う?」
こ、こいつ。
妃芽さんを脅したって言うのかよ?
許せねぇ。
「あんたがバラすなら、みゆもあの女が必死に守ったものを傷付けるから」
くそっ……‼
それじゃなにも出来ない。



