「からかってねぇし……察しの通り俺はホストだけど、プライベートな時間まで仕事しねぇ主義だから」
「は、はぁ……そう、ですか」
それで?
イマイチなにが言いたいのかよくわからない。
「要するにだな……今はプライベートで飲んでるだけで、仕事は一切してねぇってことだ。冗談じゃねぇってことだよ」
はぁ……?
顔色一つ変えることなくその人は言った。
冗談とも本気ともとれる曖昧な言い方で。
冗談じゃないって言われてもねぇ。
「とてもじゃないけど信じられません。それに初対面ですよね?」
どう考えても、客引きにしか思えないんですけど。
「俺ら初対面じゃないから」
初対面じゃない?
まじまじと顔を見つめながら頭を悩ませる。
こんなにカッコ良い人、一回見たら絶対忘れないはず。
だけど記憶にない。
一体、誰なんだろう。
「ま、俺が一方的に知ってるって言う方が正しいけどな」
一方的に……って
どこで⁉
いくら考えてもわからなかったけど、その人はそれ以上答えてくれなくて
それすらも戦略なのでは?
と少し疑ってしまった。



