「トボけんな、さっき電話で話してたことだよ。あのホストって辰巳さんのことだろ?別れさせたってなんだよ?」
一体なんなんだ⁉
この女は。
こいつのせいで、辰巳さんがあんなことになったのか?
「なぁんだ、聞かれてたのか」
女はフンッと鼻で笑い、バカにしたような目付きで俺を見上げた。
なんだよ、こいつ。
裏表ありすぎだろ‼
そして、俺の腕を乱暴に振り払い淡々と口を開く。
「どういうことかって?あんたが聞いたままの意味だよ?」
悪びれる様子もなく、平然とそう言った女の目は氷のように冷たかった。
深い憎しみや恨みの籠もる瞳。
背筋がぞっとした。
「なんでそんなこと……」
どんな恨みがあるって言うんだ?



