「そうよ、あのホストの女‼ついに別れさせることに成功したの」
ホストの、女……⁉
別れさせることに成功……⁉
やっぱりこの女……。
この女が辰巳さんと妃芽さんを別れさせたとでも言うのか?
自慢じゃないけど頭の回転が良い俺は、ここ数日の辰巳さんの様子を思い出してピンと来た。
この女が言っているのはあの2人のことで間違いない、と。
電話を終えてVIPルームに戻ろうとした女の後を追い、階段に差し掛かる手前でその女の手首を掴んだ。
「な、なに⁉」
垂れ目がちな瞳を大きく見開き、驚くように俺の方を振り返ったその女。
「今の話、どういうことだよ?」
そう言うと、女はキョトンとトボけた顔をして見せた。
「えと、なにが、ですか?」
上目遣いでジッと見つめて来るこの女は、さっきまでとはまるで別人。
あいにく、俺はそんなのには騙されねーんだよ。



