「うわっ‼」
雑誌の下にあったその顔は寝顔なんかではなく、目を開けたままの無表情の顔。
思わず大きな声を出して後ろに仰け反った。
び、びっくりした〜‼
マジ、寿命縮むかと思った。
周りの奴らも、ギョッとして辰巳さんを見ている。
それでも辰巳さんは上を向いたまま一点だけを見つめ、俺の声や行動に一切反応しなかった。
そんな辰巳さんの横顔は、男でも惚れ惚れするぐらいカッコ良い。
「……指名、入ってるっすよ?」
「…………」
俺や他の奴が声を掛けても、一切目を合わせず動こうともしない。
その目はどこか遠くを見つめているように見えて、なぜだか少し切なくなった。



