シーン
ソファーから起き上がろうとしない辰巳さん。
雑誌を顔の上に置いているから顔は見えない。
「ね、寝て……ます?……よね?」
困り果ててる若いボーイは、顔を引き攣らせながらすがるような目で俺を見て来た。
え⁉
なんで俺っ⁉
俺に聞いちゃう?
俺にだってわかんねーよ。
ボーイは、俺に辰巳さんを起こして欲しそうな目をしていた。
うおっ‼
恐る恐る周囲を見渡した俺は、ボーイだけじゃなくホストからのそんな視線も感じたのだった。
嫌な役回りは全部俺かよ。
同期の奴は、面白がって早くしろと口パクで言っている。
最悪なことに、寝起きの辰巳さんはかなり機嫌が悪いのだ。



