階段を上がって行った辰巳さんを見て、蓮夜さんがポツリと呟いた。
「あれはマジでヤバイかもな」
いや、顔見たらわかりますって!
あの無表情は相当ヤバかった。
休ませろとせがんでいた辰巳さんだったけど、どうにか代表に言いくるめられたらしく店が始まるギリギリの時間に戻って来た。
「辰巳さん、指名です」
「…………」
開店後すぐの控え室は、辰巳さんから漂う不穏なオーラでピリピリしていた。
他の従業員も皆それを察知し、辰巳さんに話し掛ける奴なんて誰もいない。
NO.1だというだけでも気後れして話し掛け辛いのに、この雰囲気じゃ尚更だ。
辰巳さんはソファーに寝そべり、雑誌を顔の上に広げていた。
寝てるのか……?



