バンッ
ものすごい勢いで開いたドア。
その音に俺と蓮夜さんの肩がビクッと震えた。
二人して同時にドアの方を見れば、中からは殺気立ったオーラを纏った辰巳さんが姿を現した。
「ちーっす」
蓮夜さんはそんな辰巳さんに普通に声を掛けた。
いやいや‼
ちーっすって言ってる場合じゃないっスって‼
あの顔、絶対ヤバイっス‼
爽やかに片手を上げながら辰巳さんに近寄って行く蓮夜さんと、こっちに向かって歩いて来る辰巳さん。
「機嫌わりぃなぁ、どうしたんだよ?俺で良けりゃ話くらい聞くぞ?」
そう声を掛ける蓮夜さんを無視し、辰巳さんは俺の前を無言で通り過ぎた。
視線は前を向いたまま無表情。
だけど、辰巳さんを纏うオーラは鋭く尖っていた。
それはもう誰も寄せ付けないようなほど凄まじいもので、辰巳さんに声を掛けた蓮夜さんを心からすげえと思った。



