「妃芽さんはそんな人じゃないっすよ」 あの人はそんな人じゃない。 仕事を投げ出してまで旅行に連れてけなんて勝手なことを言うはずがない。 少ししか話したことはないけど、それだけは言い切れる。 「なになに⁉お前もしかして、あの子に惚れてんの?」 ニターッと笑いながら、蓮夜さんは俺のわき腹を肘で小突く。 「な、なんでそうなるんすか……‼ありえないっすよ」 探って来るような目を向けられ、反射的に目を伏せた。 これじゃ、バレバレだよな。 辰巳さんもきっと いや、絶対に気付いている。