近付く者には容赦無く睨み付け、威嚇していた。
殺気立ったその目は効果抜群で、恐れをなして彼女に話し掛ける者など一人もいなかった。
いや、『Rose Pink』の店長とその奥さん、そして代表くらいだった。
本気なんだということはそれだけでも伝わって来たけど、トイレにまで付き添う辰巳さんの姿に、多少のことには動じない代表までもがア然としていた。
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「確かに、あの溺愛っぷりはすごかったっすもんね」
口にしてその光景を思い出し、チクリと胸が痛んだ。
「だろ⁉絶対彼女だよ。NO.1が仕事休ませろって言うくらいだもんな、彼女に旅行でもせがまれたか?」
蓮夜さんは楽しそうにケラケラ笑った。
ったく、この人は。



