特別美人というわけではないけど、愛嬌があって可愛らしい辰巳さんの彼女の妃芽さん。
バースデーの日、下っ端ホストにまで気を配り俺にも優しく声を掛けてくれた。
知らないホスト集団の中で目立とうとするでもなく、かといってつまらなそうにするわけでもなく。
シャンパンタワーに目もくれず、スツールに座って一人美味しそうにカクテルを飲む姿には、そこにいた全員がびっくりしていた。
だって、シャンパンタワーだぞ⁉
そこで初めて見た俺はすげえ感動を覚えたというのに。
ただ興味がないだけなのか?
女性なら一度は憧れる逆ハーレムの状態でも(少なくとも俺ならかなり舞い上がる)、妃芽さんは一人黙々とカクテルを飲み続けていた。
もしくは男が苦手なのか?
とにかくそんな彼女がすごく気になって
、気付かない内にこっそり目で追ってた。
辰巳さんの彼女だと皆の前で紹介された時、真っ赤になって恥ずかしそうにうつ向いた妃芽さんを見て胸が痛んだ。
その理由は敢えて考えないようにして
幹事だった俺は忙しく動き回っていた。
皆、彼女に興味が湧いて隙あらば話し掛けるタイミングを狙っていた。
恐れ多くも奪うなんてそんなつもりはなく、馴れ初めや、あの辰巳さんをどうやって落としたのか興味が湧いただけだと思う。
しかし
辰巳さんはそれを許さなかった。



