あいつ、さっき泣きそうな顔してたな。


思い詰めたような、なにかを抱え込んでいたようなそんな顔。


くそっ、なんでそんな日に側に居てやれねぇんだ。


妃芽と付き合うようになってから、そんな風に思う日が確実に増えた。



俺が夜部屋を出る前、あいつはいつも寂しそうに笑う。



それを見て、何度仕事に行きたくないと思ったことか。



この仕事を本気で辞めようと考えた時期もあったほどだ。



今まで散々遊びまくって女を泣かせて来た俺が、一人の女にここまで惚れ込むなんて自分でも信じられなかった。



年上の女が好きだった俺が、4つも年下の妃芽に本気になるなんてな。



まさに、天変地異だよ。