どうしてそれを知ってるのかはこの際関係ない。
問題はその中身。
「別れろだなんてそんなこと、あなたに指図される覚えはない」
目を見てはっきり言ってやった。
「みゆの用件はそれだけ。呑めないって言うなら、辰巳君の辛〜い過去を週刊誌にでも売ろうかな〜」
は⁉
週刊誌……⁉
人差し指を顎に当てて、わざとらしく考える素振りを見せるその姿にイライラする。
「あれ?もしかしてみゆが知らないとでも思ってた?やだ〜、脅すネタもないのにあんたに別れろだなんて言うわけないでしょ?」
この子、本当に性格悪い。
根性が腐ってる。
悔しくて唇を噛み締めた。
「辰巳君の父親って〜、超有名なあの資産家なんでしょ?で、辰巳君はその愛人の子ども!女手一つで育ててくれた母親は苦悩の末に自殺!どう?これだけで十分売れるネタになると思わない?」
…………
「あ、父親には愛人が何人もいて、腹違いの兄弟がたくさんいることとかもネタになるよね?同情買えるし、それでさらに有名になったりして〜。一石二鳥じゃん?」
平気で口に出来るその神経がわからない。
怒りで拳がワナワナ震えた。



