ランチを終えてお店に戻ると、市井さんは店長に呼ばれて倉庫へと行ってしまった。
スタッフルームには、みゆちゃんともう一人の新人の藤原さんしかいない。
やだな、気まずすぎでしょ。
パイプ椅子に座ってメイク直しをしてるみゆちゃんを無視し、あたしは自分のロッカーに向かった。
鍵を差して扉を開けた瞬間、背後から声がした。
「立野さ〜ん、帰りちょっとお話があるんですけど」
薄ら笑いを浮かべるみゆちゃんの顔が、ロッカーの扉に備え付けられた鏡に映っている。
明らかにあたしを敵対視するような瞳に、嫌な予感しかしない。
「話ってなに……?」
話すことなんてあたしにはない。
二度と顔も見たくなかったのに。
「いいんですか〜?こんなとこで話しちゃっても」
明らかにあたしをバカにするような態度に、ため息しか出なかった。



