俺様ホストに愛されて



輪になって集まると、最悪なことにあたしの真正面にはみゆちゃんがいた。



この日のこの時間の為だけに、休みのスタッフも全員この場所に集まっている。



新人さんをスタッフ全員で快く迎えようという習わしの一つだ。



自己紹介を促され、一人目の子は一般的な挨拶をしてみせた。



「どうも〜、笠松美雪(かさまつ みゆき)でーす!ちなみにうちのパパはこのお店の本社で会長してま〜す。よろしくお願いしま〜す」



な、なに


この子。



シーンとその場が静まり返った。



誰もがポカーンとして、開いた口が塞がらない様子。



高校上がりだし、社会人経験がないから多少のことには目を瞑るとしてもだ。



ニコリとも微笑まず偉そうに腕を組みながら、スタッフ全員を舐め回すように見るその態度はどうにかならないの?



完全に仕事を舐めてるとしか思えない。



しかも、思いっきりあたしを睨んで来てるし。



あたしに恨みがあるのかもしれないけど、初日からその態度はないでしょ。



ダメだ、やっていける気がしない。



「え、え〜……と、新人担当は市井君だったな?よろしく頼むよ」



顔を引きつらせながら、マネージャーが市井さんに2人を投げ出す。



同じく、市井さんの顔も引きつっていた。