「ずっとってほどじゃねぇよ」
「いつから?」
「高校出てから」
リュウは一応答えてくれてるけど、短く返事をするだけで必要以上に話そうとはしない。
それはいつものこと。
「リュウの親って、どんな人?」
深く聞かれたくないから予防線を張ってるんだと思ってた。
だけど、違うのかも。
あたしが、遠回しに聞いてばかりいたから
核心を突いたことがなかったから、話せなかったのかもしれないね。
リュウはいつも、ストレートに感情を表現してくれるもん。
あたしの髪を撫でていたリュウの手がピクッと反応した。
「珍しいな、妃芽がそんなこと聞くって」
気のせいかもしれないけど、リュウの声がワントーン下がったような気がした。
「リュウのことならなんでも知りたいから……聞いちゃいけなかった?」
なんでもない振りをしながら問いかける。



