ヒロさんは動かしていた手をピタッと止めて、真剣な眼差しであたしを見つめ返して来た。
そして、ゆっくり口を開く。
「あいつんち、色々と複雑でさ……俺には家のこととかなにも言って来ないけど、愛に餓えてんだと思う」
そう、なんだ。
やっぱりあたしは、リュウのことをなにも知らないね。
家族のことは聞いてもいつもはぐらかされるから、なにかあるんだろうなとは思ってたけど。
話してほしいよ。
あたしじゃ頼りにならないかもしれないけど、一緒に受け止めることは出来る。
「けどあいつ、妃芽ちゃんに会ってからマジで変わったよ」
その言葉に、握り締めていた拳がふと緩んだ。



