「わかりやすすぎですよ。なにがあったんですか?」
そんなににやけちゃって。
あたしにカクテルを差し出すなり、ヒロさんはこれでもかって程幸せそうな顔を浮かべた。
「パパになるんだ」
え……?
それって
つまり、ユメさんが妊娠したってこと?
「きゃー!おめでとうございます!」
思わず歓喜の声を上げた。
嬉しそうに笑うヒロさんを見て、あたしの顔も自然と綻ぶ。
「ありがとう」
いいな、すごく幸せそう。
ユメさんも、ママになるんだね。
「今度お祝いしましょうよ!なんだかあたし、自分のことのように嬉しいです」
「ぷ」
興奮気味にそう言ったあたしを見て、ヒロさんが吹き出した。
「妃芽ちゃんって、本当見てて飽きないね。なんでも喜んでくれるから俺も嬉しいよ」
「だって、本当におめでたいことだし……新しい命が芽生えるって素敵なことじゃないですか」
好きな人との子どもが出来たら、そんなに幸せなことはない。
「妃芽ちゃんは温かい家庭で育ったんだね」
え……⁉
一瞬だけ、ヒロさんの目が寂しそう揺れた。
だけど、すぐにいつもの穏やかな顔に戻ったんだ。



