約束、したもんね。
絶対外さないって。
あたしはそれを破ったんだ。
気まずい中、リュウが作ってくれた朝ご飯を食べた。
なにか話さなきゃと思えば思う程、なにを話せばいいのかわからなくなる。
なにを話しても、取り繕っているようにしか聞こえない気がして
謝るのも違う気がした。
「洗い物はあたしがするね」
向かい合って座るのが耐えきれなくて、食器をまとめてキッチンへ向かった。
どうしてよそよそしい態度しか取れないんだろう。
こんな自分、嫌なのに。
「なぁ」
後ろから伸びて来たリュウの腕と、ふわっと香ったいつもの匂い。
ボーッとしていたせいで気配に気付かなかった。
後ろから抱き締められて、鼓動がドキドキ騒ぎ始める。
「ど、どうしたの……?」
あたしの肩に顔を埋めるリュウ。髪が顔の横に当たってくすぐったい。
こんなに弱りきったリュウは初めてだよ。
「お前の胸ん中……どうやったら俺でいっぱいになる?」
ドキッ
そう言われるだけで、こんなにもリュウでいっぱいになる。



