「そういう時は、ありがとうって言ってくれると嬉しいんだけど」
なにその甘い笑顔。
逆らえないよ。
「あ、ありがとう」
「よし、イイ子だ。向こう座ってろ」
あたしの頭をくしゃっと撫でて、リュウはフライパンに目を移した。
なんだかすっかりご機嫌じゃん。
どうしちゃったの?
疑問に思いながら、ダイニングテーブルの椅子に腰掛ける。
すぐ後に目玉焼きをお皿に盛り付け終えたリュウがやって来た。
「いただきます」
手を合わせて食べ始めようとした時、リュウの視線を感じてふと顔を上げた。
真っ直ぐにあたしを見ているリュウ。
どうしたんだろう。
首を傾げるあたしに、リュウは優しく微笑んだ。



