どうしてあの子がここに……?
しかも、リュウのお客さんなの?
太客だって
社長令嬢だって
確かナツヤ君が言ってたっけ。
だけど
その子、女子高生だよ?
リュウは知ってるの?
美雪さんがみゆちゃんだと知って、あたしは激しく動揺した。
だって、信じられるはずがない。
太一の浮気相手だったみゆちゃんが、リュウのお客さんだっただなんて。
世間が狭すぎるにも程があるよ。
「妃芽さん……?」
トイレの側に立ち尽くしていたあたしは、誰かに名前を呼ばれてハッとした。
やばい、またトリップしてた。
「どうしたんすか?店に来るって珍しいっすね」
空いたグラスを手に持って笑顔を浮かべるノボル君。
「う、うん。職場の先輩に誘われて」
うまく笑えてるかな。
正直、さっきの事実が衝撃的すぎて頭が真っ白だ。
「そうっすか。辰巳さん、今日はVIPルームから出れるみたいっすから呼んで来ましょうか?」
「や、やめて。リュウには内緒で来てるから」
それに、どんな顔をして会えばいいのかわからない。



