声には出していないけど、あたしの顔を見てナツヤ君は察したらしく話を続ける。
「今日は辰巳さんの太客が来てるんすよ。美雪(みゆき)さんっていって、たまに来る人なんすけど……なんでも社長令嬢らしくて、金は相当持ってるとか。辰巳さんもいつもはクールだけど、あの人が来た時だけは優しく笑うんすよね」
「お前……余計なことをペラペラ喋ってんじゃねーよ」
そう言ったのはアキラ君で、いつの間にか市井さんもこっちの話に耳を傾けていた。
「す、すみませんっ」
バツが悪そうに口を閉ざしたナツヤ君は、最近入った新人ホストらしい。
それから他愛のない会話を続けたけど、頭の中はリュウのことでいっぱいだった。
知らなかったホスト辰巳の顔を垣間見れたけど、それはあまりにもショックな内容。
VIPルームでなにしてるの?
あのマンションやお金があるのは、美雪さんって人から貰ってるから?
優しく笑いかけるのはなんで?
そんな考えばかりが頭の中を巡っていた。



